当法人の労務相談顧問は、「迅速なレスポンス」、「杓子定規ではない寄り添った回答」が特徴で、法改正内容や対応事項のような基本的なところから労使間のトラブルの対応方法、問題社員への対応方法等多くの相談に対応しております。
和歌山県の最低賃金、今後の動向予測と企業の備え
社会保険労務士法人ワンステップでは、和歌山・奈良・阪南を中心に労務相談、給与計算・社会保険手続き代行、就業規則作成、勤怠管理システム導入、助成金の提案など、人事労務分野の各テーマ別ノウハウに基づいてご支援をさせていただくことが可能です。上記テーマ等でお困りの会社様は、是非一度当法人にご相談ください。
2026年度は「1,101円」への引上げを答申
いつもご覧いただきありがとうございます。
社会保険労務士法人ワンステップです。
和歌山県の最低賃金が、いよいよ1,100円台に入ろうとしています。
2026年8月10日、和歌山地方最低賃金審議会は、和歌山県の最低賃金について、
時間額1,101円
とする答申を行いました。
2026年9月時点の最低賃金は1,045円ですので、
56円の引上げ
となります。
割合にすると約5.4%の上昇です。
最低賃金1,100円時代に向けて、中小企業が今から確認しておきたい賃金・採用・助成金対策
👉 最低賃金の上昇は、最低賃金ギリギリで働くパート・アルバイトだけの問題ではありません。
正社員の給与、各種手当、採用時給、既存社員との賃金バランスなど、会社全体の賃金設計へ影響する可能性があります。
今回は、2026年度の和歌山県最低賃金の最新状況と、今後の動向、企業が今から準備しておくべきことについて解説します。
1.2026年9月時点の和歌山県最低賃金は1,045円
2026年9月時点で、和歌山県の地域別最低賃金は、
時間額1,045円
です。
2025年11月1日から適用されています。
その前は980円でしたので、
980円 → 1,045円
と、一年間で65円引き上げられました。
そして2026年度については、さらに、
1,045円 → 1,101円
への改定が答申されています。
つまり、この2年間だけで見ると、
980円 → 1,101円
となり、121円上昇する計算です。
📌 最低賃金は短期間で大きく上昇しています。
「毎年20円、30円くらい上がるもの」という以前の感覚で人件費を計画するのは難しくなってきました。
2.2026年度は56円アップの「1,101円」
2026年度の中央最低賃金審議会では、地域ごとの引上げ額の目安として、
Aランク 54円
Bランク 56円
Cランク 56円
が示されました。
和歌山県はBランクです。
そのため、
1,045円+56円=1,101円
となります。
和歌山地方最低賃金審議会も、この1,101円で答申しています。
👉 2026年度は、和歌山県でも最低賃金1,100円を超える水準となる見込みです。
厚生労働省・和歌山労働局
https://jsite.mhlw.go.jp/wakayama-roudoukyoku/
3.「1,101円になってから考える」では遅い
最低賃金が上がると聞くと、
「適用日までに時給を変えればいい」
と考える会社もあります。
しかし、実務ではそれだけでは不十分です。
例えば2026年9月時点で、
Aさん 時給1,050円
Bさん 時給1,100円
Cさん 時給1,150円
という会社があったとします。
最低賃金が1,101円になれば、
Aさんは当然見直しが必要です。
さらにBさんも1,100円では最低賃金を下回ることになります。
そこでAさんとBさんを、
1,101円
に変更したとします。
すると、
新人 1,101円
勤続5年 1,101円
という状態が起こるかもしれません。
📌 最低賃金対策では、「最低賃金を下回る人だけ直す」のではなく、既存社員との賃金バランスまで確認する必要があります。
4.正社員も最低賃金の対象です
「最低賃金はパートやアルバイトの話」
と思われることがありますが、これは違います。
最低賃金は原則として、
・正社員
・契約社員
・パート
・アルバイト
など、雇用形態にかかわらず適用されます。
したがって、月給制の正社員についても確認が必要です。
例えば、
月給180,000円だから最低賃金は関係ない
とは限りません。
月給を時間額へ換算した結果、最低賃金を下回っていれば問題になります。
👉 特に基本給が低めに設定されている会社は、月給者についても必ず確認しましょう。
5.月給制は「時給換算」して確認する
月給制の場合は、原則として最低賃金の対象となる賃金を月平均所定労働時間で割って確認します。
例えば、
最低賃金の算定対象となる月給 180,000円
月平均所定労働時間 173時間
の場合、
180,000円 ÷ 173時間
= 約1,040円
となります。
この場合、2026年9月時点の和歌山県最低賃金1,045円にも届きません。
一方、
190,000円 ÷ 173時間
= 約1,098円
です。
2026年9月時点では最低賃金を上回っていますが、1,101円になれば不足する可能性があります。
📌 「月給20万円近く払っているから大丈夫」と感覚で判断せず、時間額に換算して確認することが重要です。
6.すべての手当を最低賃金に入れられるわけではない
月給を時給換算するときに注意したいのが、手当の取扱いです。
会社から支給しているものを、すべて最低賃金の計算に入れられるわけではありません。
例えば、
・時間外労働に対する割増賃金
・休日労働に対する割増賃金
・深夜労働に対する割増賃金
・通勤手当
・家族手当
・精皆勤手当
・臨時に支払われる賃金
・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
などは、最低賃金との比較から除外されるものがあります。
👉 「総支給額」で最低賃金を判定しないことが重要です。
基本給が低く、各種手当が多い賃金体系の会社は特に注意しましょう。
7.最低賃金が上がると「残業単価」も上がる
時給そのものを上げれば、人件費が増えるのは当然です。
しかし影響はそれだけではありません。
賃金を引き上げることで、
・時間外手当
・休日労働手当
・深夜手当
などの計算単価も上昇する場合があります。
例えば従業員が多く、残業も多い会社では、
時給56円アップ × 所定労働時間
だけで人件費増加を計算すると、実際の負担を過小評価することがあります。
📌 社会保険料の会社負担分まで含めてシミュレーションすることが重要です。
8.最低賃金の今後はどうなる?
今後について、最低賃金が再び下がる可能性は現時点では考えにくいでしょう。
政府は最低賃金の引上げを重要政策の一つとして進めています。
したがって企業側としては、
「今年1,101円になればしばらく止まる」
という前提ではなく、
今後も継続的に上昇する可能性がある
という前提で経営計画を立てる方が安全です。
👉 1,101円への対応だけでなく、その先の1,150円、1,200円も視野に入れた賃金設計が必要になってきます。
もちろん、将来の和歌山県最低賃金額が現時点で決まっているわけではありません。
あくまで毎年度の審議を経て決定されます。
9.最低賃金上昇で問題になる「賃金の逆転」
例えば2026年9月時点で、
新人 1,050円
3年目 1,100円
リーダー 1,200円
という会社があるとします。
最低賃金への対応として、
新人 1,101円
にすると、新人と3年目社員との差は、
50円
から、
実質ほぼなくなります。
すると3年目社員から、
「3年間働いているのに新人と同じくらいなの?」
という不満が出る可能性があります。
📌 最低賃金の上昇は「賃金の下側」から全体を押し上げていきます。
これを「賃金圧縮」と呼ぶこともあります。
最低賃金が上昇するほど、中堅社員やベテラン社員についても賃金見直しが必要になる可能性があります。
10.採用時給にも影響する
法律上、
「最低賃金が1,101円だから求人も1,101円」
とすることは可能です。
しかし、実際に応募が来るかどうかは別問題です。
近隣の会社が、
1,150円
1,200円
1,250円
で求人を出していれば、1,101円では採用が難しい場合があります。
👉 これからは「最低賃金」だけでなく、「地域の採用相場」も確認しなければなりません。
最低賃金が上昇すると求人時給全体も押し上げられる可能性があります。
11.最低賃金への対応で最初にやるべきこと
まず会社におすすめしたいのが、
最低賃金に近い社員の一覧を作ること
です。
例えば、
1,045円~1,100円
1,101円~1,150円
1,151円~1,200円
などに分けます。
月給者についても時間額へ換算します。
すると、
「法律上、必ず昇給しなければならない人」
だけでなく、
「賃金バランスを考えると見直した方がよい人」
まで見えてきます。
📌 最低賃金改定前に、全社員の賃金を一度時給換算して一覧にしてみることをおすすめします。
12.人件費をシミュレーションする
例えば、
最低賃金付近のパート社員が10人
1人あたり月100時間勤務
56円昇給
とすると、
56円 × 100時間 × 10人
= 月56,000円
年間では、
672,000円
の賃金増加となります。
さらに、
・雇用保険料
・社会保険料
・残業代
などへの影響が出る場合があります。
👉 「一人あたり月5,600円」では小さく見えても、人数と年間で考えると大きな金額になります。
早めに年間人件費を試算しておきましょう。
13.価格転嫁も避けて通れない
最低賃金が上昇しても、
販売価格やサービス料金が同じ
であれば、人件費率が上がります。
そのため、
・価格改定
・取引先との価格交渉
・不採算業務の見直し
・サービス内容の整理
なども必要になる場合があります。
特に、
・介護
・飲食
・小売
・宿泊
・清掃
・製造
・運送
など、人件費の割合が高い業種では影響が大きくなります。
📌 最低賃金対策は人事部門だけの問題ではなく、経営そのものの問題です。
14.「人を減らす」前に業務効率化を考える
人件費が上昇すると、
「人を減らさないといけない」
と考える会社もあります。
しかし、人を減らして残った社員に業務が集中すると、
残業増加
↓
社員の負担増加
↓
離職
↓
さらに人手不足
という悪循環になることもあります。
そこで、
・勤怠管理システム
・給与計算システム
・POSレジ
・予約システム
・自動精算機
・業務用設備
・ITツール
などを活用し、
👉 「1時間かかっていた仕事を30分で終わらせる」
という方向も検討しましょう。
賃上げと生産性向上はセットで考える必要があります。
15.業務改善助成金を検討する
最低賃金引上げへの対応で、中小企業にぜひ確認していただきたいのが、
業務改善助成金
です。
業務改善助成金は、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げ、生産性向上につながる設備投資等を行った中小企業・小規模事業者について、その費用の一部を助成する制度です。
例えば、年度の要件を満たせば、
・機械設備
・POSシステム
・業務効率化設備
・一部の車両等
が対象となる可能性があります。
📌 重要なのは、最低賃金が上がってから申請するのではなく、賃上げや設備導入を実施する前に制度を確認することです。
「先に設備を買ってしまった」
「先に賃上げしてしまった」
という場合、助成対象にできないことがあります。
厚生労働省「業務改善助成金」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html
16.就業規則・賃金規程も確認する
賃金を変更する場合には、給与計算だけでなく、
・雇用契約書
・労働条件通知書
・就業規則
・賃金規程
・賃金テーブル
についても確認しましょう。
特に賃金規程で、
「パート社員の時給は○○円とする」
など具体的な金額を定めている場合は、規程改定が必要になることがあります。
👉 給与だけ変更して、規程が昔の金額のままになっていないか確認しましょう。
17.10月直前ではなく、今から準備する
最低賃金対応でおすすめしたいのは、直前まで待たないことです。
まず、
① 全社員の現在の賃金を確認
↓
② 月給者を時給換算
↓
③ 1,101円を下回る社員を把握
↓
④ その少し上の社員との賃金差を確認
↓
⑤ 新しい賃金額を決定
↓
⑥ 年間人件費をシミュレーション
↓
⑦ 就業規則・賃金規程を確認
↓
⑧ 業務改善助成金等の活用可能性を確認
という順番で進めるとよいでしょう。
📌 最低賃金対策は「給与ソフトの時給を変更するだけ」の作業ではありません。
18.最低賃金はこれから「採用・定着戦略」の問題になる
最低賃金が継続的に上昇すると、
どの会社も最低ライン付近まで賃金を上げる
ことになります。
すると求職者から見ると、
「時給だけでは会社の違いが分からない」
状態になります。
そのため今後は、
・休日
・勤務時間
・有給休暇の取りやすさ
・教育制度
・評価制度
・昇給制度
・職場の人間関係
・柔軟な働き方
なども、より重要になります。
👉 最低賃金への対応を「法律だから仕方なく賃上げする」で終わらせず、採用・定着戦略まで見直す機会にしましょう。
19.社会保険労務士法人ワンステップに相談するメリット
社会保険労務士法人ワンステップでは、和歌山県内の企業様を中心に、
・最低賃金チェック
・月給者の時間額換算
・賃上げ対象者の確認
・人件費シミュレーション
・賃金テーブルの見直し
・就業規則、賃金規程の改定
・給与計算
・業務改善助成金等の活用相談
などをサポートしています。
「誰をいくら上げればいいのか分からない」
「月給者が最低賃金を下回っていないか確認したい」
「最低賃金を上げると既存社員との給与差がなくなってしまう」
「設備投資と一緒に助成金を活用したい」
という企業様もお気軽にご相談ください。
特に助成金については、賃上げや設備購入を行う前の相談が重要です。
👉 社会保険労務士法人ワンステップ
https://www.onestep-sr.jp/
20.まとめ
2026年9月時点で、和歌山県の最低賃金は時間額1,045円です。
一方、2026年度については、
時間額1,101円
とする改定が答申されています。
よって、
56円アップ
となります。
そして企業が考えるべきなのは、今回の56円だけではありません。
最低賃金の上昇傾向を考えれば、
1,100円台を前提とした賃金体系への見直し
を始める時期に入っています。
まずは、
① 最低賃金付近の社員を洗い出す
② 月給社員も時間額へ換算する
③ 既存社員との賃金バランスを見る
④ 年間人件費を試算する
⑤ 生産性向上策を考える
⑥ 助成金を利用できないか確認する
という順番で準備しましょう。
📌 最低賃金対策は、「1,101円に変更して終わり」ではありません。
賃金の上昇を、
価格転嫁・生産性向上・採用・定着・評価制度
まで含めて考えることが、これからの中小企業には求められます。
👉 最低賃金が実際に適用される直前に慌てるのではなく、今のうちに「1,101円になった場合、自社の人件費と賃金バランスがどう変わるのか」を確認しておきましょう。
労務問題対策には専門家の支援を
当法人では、企業様に顧問社労士契約を推奨しております。労務・手続き・助成金に強い顧問社労士をつけることで、労務問題を迅速に解決するだけでなく、給与計算や諸手続きにかかる総務部門の間接コストを削減することができ、経営に専念できる環境を整備出来ます。その他にも受給できる助成金の提案・申請代行や各種研修の実施・最新情報提供など、様々なメリットがあります。 詳しくは、【サービス紹介】をご覧ください。
実際に顧問契約をご締結いただいている企業様の声はこちら【顧問先インタビュー】


















