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M&Aや事業承継の前に!必ずチェックすべき労務リスク(デューデリジェンス)
社会保険労務士法人ワンステップでは、和歌山・奈良・阪南を中心に労務相談、給与計算・社会保険手続き代行、就業規則作成、勤怠管理システム導入、助成金の提案など、人事労務分野の各テーマ別ノウハウに基づいてご支援をさせていただくことが可能です。上記テーマ等でお困りの会社様は、是非一度当法人にご相談ください。
財務だけ見て会社を引き継ぐのは危険です
いつもご覧いただきありがとうございます。
社会保険労務士法人ワンステップです。
「後継者がいないので、第三者への事業承継を考えている」
「他社を買収して事業を拡大したい」
「会社を引き継ぐことになったが、何を確認すればよい?」
M&Aや事業承継では、売上・利益・借入金・資産などの財務状況が注目されがちです。
しかし、忘れてはいけないのが**「人」に関するリスク**です。
未払残業代・社会保険・就業規則など、後から発覚しやすい「人」のリスクを確認
例えば、会社を引き継いだ後に、
「実は多額の未払残業代があった」
「社会保険に加入させるべき社員が未加入だった」
「問題社員とのトラブルを抱えていた」
と分かれば、その後の経営に大きな影響を与える可能性があります。
👉 M&Aでは「いくらで買うか」だけでなく、「どのような労務リスクまで引き継ぐのか」を事前に確認することが重要です。
今回は、M&Aや事業承継の前に確認しておきたい**労務デューデリジェンス(労務DD)**について解説します。
1.労務デューデリジェンスとは?
デューデリジェンス(Due Diligence)とは、M&Aなどを行う際に対象企業の実態やリスクを事前に調査することです。
財務・税務・法務などさまざまな分野がありますが、人事・労務に関する調査が労務デューデリジェンスです。
例えば、
・労働時間は適正か
・未払残業代はないか
・社会保険は適正に加入しているか
・就業規則は実態と合っているか
・有給休暇は適正に管理されているか
・労使トラブルを抱えていないか
などを確認します。
📌 書類があるかどうかだけでなく、「実際の運用がどうなっているか」まで確認することがポイントです。
2.最重要チェック①「未払残業代」
労務DDで特に注意したいのが、未払残業代です。
例えば、
「残業は月20時間までしか申請できない」
「タイムカードを押してから仕事をしている」
「管理職だから残業代を払っていない」
「固定残業代を払っているから何時間働いても追加支給していない」
といった運用が行われている場合は注意が必要です。
会社を引き継いだ後に未払残業代が発覚すれば、大きな負担となる可能性があります。
さらに対象社員が多数いれば、金額も膨らみます。
👉 給与明細だけではなく、タイムカード・勤怠システム・賃金台帳などを突き合わせて確認することが重要です。
3.固定残業代の運用も確認する
「固定残業代を払っているから問題ない」
とは限りません。
例えば、
・基本給と固定残業代の区分が不明確
・何時間分なのか明示されていない
・固定残業時間を超えても追加支給していない
・最低賃金との関係に問題がある
といったケースがあります。
📌 固定残業代制度は、給与明細だけでなく雇用契約書・賃金規程・実際の給与計算までセットで確認しましょう。
買収後に給与制度を見直そうとして初めて問題が発覚することもあります。
4.チェック② 社会保険・雇用保険の加入状況
次に確認したいのが、
・健康保険
・厚生年金保険
・雇用保険
です。
例えば、
「パートだから社会保険に入れていない」
「本人が希望していないので加入させていない」
という会社もあります。
しかし、加入要件を満たしていれば、本人や会社の希望だけで未加入にできるものではありません。
後から加入漏れが発覚すると、過去に遡って保険料負担が発生する可能性があります。
👉 社員名簿・雇用契約書・勤務時間・給与データと加入者一覧を照合することが重要です。
5.チェック③ 就業規則は「あるだけ」では不十分
M&A対象会社から、
「就業規則はあります」
と言われても、それだけで安心してはいけません。
確認したいのは、
・現在の法律に対応しているか
・実際の勤務時間と一致しているか
・休日制度が実態と合っているか
・賃金規程と給与計算が一致しているか
・育児介護休業規程が更新されているか
・社員へ周知されているか
などです。
例えば、就業規則では、
9:00~18:00勤務
となっているのに、実際には、
8:30から朝礼
という運用になっていれば、労働時間の問題が発生する可能性があります。
📌 「規則」と「現場」が一致しているかを確認することが労務DDでは重要です。
6.チェック④ 36協定などの労使協定
時間外・休日労働を行わせている会社では、36協定についても確認が必要です。
例えば、
・そもそも届出をしていない
・有効期間が切れている
・実際の残業時間が協定の範囲を超えている
・特別条項の運用に問題がある
といったケースがあります。
また、
・変形労働時間制
・賃金控除
・一斉休憩の適用除外
など、会社の制度によって必要となる労使協定等も確認します。
👉 制度上は適法に見えても、必要な協定や手続きが整っていないことがあります。
7.チェック⑤ 年次有給休暇の管理
年次有給休暇も確認しておきたいポイントです。
例えば、
・入社日が分からない
・有給残日数を管理していない
・年5日の取得義務に対応していない
・パート社員に有給を付与していない
といったケースがあります。
会社を引き継いだ後、
「社員から聞いていた有給残日数と会社の記録が違う」
となれば、トラブルになりかねません。
📌 年次有給休暇管理簿などを確認し、付与日・付与日数・取得日数・残日数を整理しておきましょう。
8.チェック⑥ 未解決の労務トラブル
数字には表れにくいものの、非常に重要なのが現在進行中の社員トラブルです。
例えば、
・ハラスメント相談
・退職勧奨をめぐるトラブル
・解雇を検討している社員
・長期間休職している社員
・労災事故
・労働基準監督署からの是正指導
・労働局のあっせん
・労働審判や訴訟
などです。
👉 「今は請求されていないから問題なし」と判断するのは危険です。
現在は表面化していなくても、M&A後に請求や紛争へ発展する可能性があります。
9.チェック⑦ 問題社員・休職者の状況
会社を引き継ぐということは、基本的にはそこで働く「人」の問題も無視できません。
例えば、
・無断欠勤を繰り返す社員
・指導を繰り返している社員
・長期休職中の社員
・退職予定者
・定年直前の社員
などがいる場合には、状況を確認しておく必要があります。
ただし、従業員の個人情報や健康情報などについては、取扱いに十分注意する必要があります。
📌 必要性のない個人情報まで収集するのではなく、M&Aの判断に必要な範囲で適切に確認することが重要です。
10.チェック⑧ 退職金という「将来の負債」
意外と見落とされやすいのが退職金です。
例えば、
「勤続30年の社員が5人いる」
「退職金規程では基本給×勤続年数で支給する」
という会社を引き継ぐ場合、数年後に大きな退職金支出が発生する可能性があります。
確認したいのは、
・退職金規程
・対象社員
・勤続年数
・現在の退職金要支給額
・中退共等への加入状況
・積立状況
などです。
👉 現在の給与だけではなく、将来発生する人件費も含めて確認することが重要です。
11.チェック⑨「社長だけが知っているルール」がないか
中小企業のM&Aでは、書類だけでは分からないルールが存在することがあります。
例えば、
「Aさんには毎年特別賞与を出している」
「Bさんだけ住宅手当を特別に支給している」
「Cさんには定年後も同じ給与を約束している」
などです。
書面には残っていなくても、社員との間で約束が成立している可能性があります。
📌 中小企業の労務DDでは、規程や給与データだけでなく、経営者へのヒアリングも非常に重要です。
12.M&Aの「手法」によって労働契約の扱いは違う
ここは非常に重要です。
M&Aと一口にいっても、
・株式譲渡
・事業譲渡
・会社分割
・合併
など、さまざまな方法があります。
どの方法を選択するかによって、労働契約や労働条件の取扱いが異なります。
特に事業譲渡や会社分割では、従業員の労働契約承継について確認すべき事項があります。
👉 「会社を買えば社員も自動的に全部同じ条件で移る」と単純に考えないことが重要です。
厚生労働省では、事業譲渡・合併・会社分割などに伴う労働関係について指針や資料を公開しています。
M&Aのスキーム自体については、弁護士・税理士・M&A専門家等とも連携しながら進めることをおすすめします。
13.「買った後に直せばいい」では遅い理由
もちろん、M&A成立後に就業規則や勤怠管理を改善することはできます。
しかし、
これから発生する問題
と、
過去から積み上がっている問題
は別です。
例えば買収後に勤怠システムを導入しても、それ以前に発生した未払残業代の問題が自動的になくなるわけではありません。
社会保険の加入漏れについても同様です。
📌 過去の労務リスクを把握したうえでM&A条件を検討することが、デューデリジェンスの大きな目的です。
14.売り手側も「労務DD」を意識する
労務デューデリジェンスは、会社を買う側だけの話ではありません。
将来的に、
「会社を後継者へ譲りたい」
「第三者へのM&Aを考えている」
という会社であれば、売却前に労務環境を整えておくことにも意味があります。
例えば、
・未払残業代をなくす
・勤怠管理を適正化する
・社会保険加入状況を整理する
・就業規則を最新化する
・雇用契約書を整備する
・有給休暇を適正に管理する
などです。
👉 労務管理がきちんと整備されている会社は、買い手側から見てもリスクを評価しやすい会社になります。
事業承継を考え始めた段階から整備しておくことをおすすめします。
15.M&A後の「労働条件統一」も大きな課題
M&A成立後には、新たな問題も出てきます。
例えば、
A社
年間休日120日・退職金あり・住宅手当あり
B社
年間休日105日・退職金なし・住宅手当なし
という2社が一緒になった場合です。
社員からすると、
「同じ会社なのに、なぜ待遇が違うの?」
という疑問が生じます。
しかし、すべてを一気に良い方へ統一すれば、人件費が大幅に増える可能性があります。
反対に、不利益となる方向への一方的な労働条件変更には法的な問題が生じる可能性があります。
📌 M&A後の労務統合(PMI)まで考えておくことが重要です。
16.労務DDで最低限確認したい資料
労務デューデリジェンスでは、例えば次のような資料を確認します。
社員関係
・労働者名簿
・雇用契約書、労働条件通知書
・組織図
・社員一覧
給与・勤怠関係
・賃金台帳
・給与明細
・タイムカード、勤怠データ
・賞与資料
規程関係
・就業規則
・賃金規程
・退職金規程
・育児介護休業規程
労使関係
・36協定
・その他の労使協定
社会保険関係
・健康保険、厚生年金の加入状況
・雇用保険の加入状況
その他
・有給休暇管理簿
・労災事故の状況
・行政機関からの是正勧告等
・現在進行中の労務紛争
👉 一つの書類だけを見るのではなく、複数の資料を照合することで実態が見えてきます。
17.社会保険労務士法人ワンステップに相談するメリット
社会保険労務士法人ワンステップでは、和歌山・奈良・大阪を中心に、
・就業規則、賃金規程等の確認
・勤怠管理、未払残業リスクの確認
・社会保険、雇用保険加入状況の確認
・雇用契約書の確認
・有給休暇管理状況の確認
・M&A後の労働条件や社内制度の整理
・就業規則、給与制度の統合
など、人事労務面から事業承継・M&Aに伴う会社の整備をサポートしています。
「会社を引き継ぐことになったが、労務面が心配」
「買収予定企業の就業規則を確認してほしい」
「事業承継する前に自社の労務リスクを整理しておきたい」
という企業様もお気軽にご相談ください。
M&Aの契約・法務・税務等については、必要に応じて弁護士・税理士等の専門家と連携して進めることが重要です。
👉 社会保険労務士法人ワンステップ
https://www.onestep-sr.jp/
18.まとめ
M&Aや事業承継を検討するとき、財務諸表だけでは会社のすべては分かりません。
特に確認しておきたいのが、
・未払残業代
・固定残業代
・社会保険、雇用保険
・就業規則
・36協定
・有給休暇
・労務トラブル
・問題社員、休職者
・退職金
・M&A後の労働条件
といった「人」に関する問題です。
📌 労務リスクは、M&Aが成立した瞬間に消えるものではありません。
むしろ、買収後に初めて問題が表面化すると、想定していなかった費用負担や社員とのトラブルにつながる可能性があります。
👉 だからこそ、「契約してから考える」のではなく「契約する前に調べる」ことが重要です。
M&A・事業承継を成功させるためにも、財務・税務・法務だけではなく、「人」に関する労務デューデリジェンスまで行い、安心して会社を引き継げる状態を作っておきましょう。
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