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【社労士監修】助成金申請と就業規則の関係|不支給を防ぐために確認すべき規程
社会保険労務士法人ワンステップでは、和歌山・奈良・阪南を中心に労務相談、給与計算・社会保険手続き代行、就業規則作成、勤怠管理システム導入、助成金の提案など、人事労務分野の各テーマ別ノウハウに基づいてご支援をさせていただくことが可能です。上記テーマ等でお困りの会社様は、是非一度当法人にご相談ください。
この記事で分かること
助成金申請と就業規則の関係について、確認すべき規程の内容、整備する時期、周知・届出のポイントを解説します。キャリアアップ助成金の正社員転換制度や昇給・賞与、両立支援等助成金に関係する育児介護休業規程を例に、申請書類と実際の運用を照合する方法を整理します。従業員10人未満の事業場の扱いや、改定前後の規程の保存にも触れます。申請直前の書き換えに頼らず、不備を早期に見つけるための確認事項が分かります。
「就業規則はあるので、助成金の申請も問題ないはず」と考えていませんか。助成金では、規程の有無だけでなく、内容、対象者への適用、施行時期、実際の運用まで確認される場合があります。
必要な制度が取組時点で整っていなかったり、規程と給与・勤怠の実績が食い違っていたりすると、支給要件を満たさない可能性があります。申請を検討した段階で、関係する規程を確認しましょう。
この記事の結論
助成金申請では、「必要な制度が規定されているか」「必要な時点から適用されているか」「規程どおりに運用されているか」を確認することが重要です。就業規則を労働基準監督署に届け出ていても、助成金の支給要件を満たすとは限りません。制度ごとの要件に沿って、規程・周知・届出・実績を照合しましょう。
本記事は2026年10月30日時点で確認した公的情報に基づく概要です。助成金の要件は年度や取組時期によって異なります。実際の申請では、適用される支給要領・手引き・申請チェックリストを確認してください。
助成金申請で就業規則が確認される理由
就業規則は、会社の労働条件や制度を定める資料です。助成金では、対象となる取組が会社の制度として整備され、対象者に適用されているかを確認するための資料にもなります。
制度の内容と適用対象を確認するため
例えば、正社員への転換制度を利用する助成金では、誰を対象に、どのような条件・手続きで転換するのかが重要です。育児休業等を支援する助成金では、利用できる制度が規程に定められているかなどを確認します。
規程に制度があっても、「正社員だけに適用する」「パートは別規程による」といった適用範囲によって、対象者への適用状況が変わるため注意が必要です。
法令への対応と助成金独自の要件を確認するため
労働法令に沿った制度整備と、助成金の支給要件は、重なる部分があっても同じではありません。法令を守っていることに加え、助成金独自の制度内容や実績が必要になる場合があります。
反対に、助成金に直接関係する条文だけを整えても、法改正への対応や他の労働条件に問題が残っていれば、十分な確認とはいえません。
出典:厚生労働省雇用関係助成金の申請にあたって
申請前に確認したい主な規程
確認対象は、就業規則の本則だけではありません。賃金規程、パートタイマー就業規則、育児介護休業規程など、対象者と取組に関係する規程を一式そろえて確認します。
| 規程・項目 | 主な確認内容 | 照合する資料 |
|---|---|---|
| 適用範囲・雇用区分 | 正社員、有期契約社員、パート等の区分と適用規程 | 労働条件通知書、雇用契約書 |
| 正社員転換制度 | 対象者、条件、手続き、転換時期等 | 転換通知、面接・試験等の記録 |
| 賃金規程 | 基本給、手当、昇給、賞与、退職金等 | 賃金台帳、給与明細、支払記録 |
| 労働時間・休日・休暇 | 所定労働時間、休日、休暇、賃金計算との整合性 | 出勤簿、シフト、休暇管理簿 |
| 育児介護休業規程 | 休業、短時間勤務、各種休暇、法改正への対応 | 申出書、通知書、面談・周知記録 |
| 附則・改定履歴 | 制定日、改定日、施行日、対象期間に適用した版 | 旧規程、届出記録、周知記録 |
すべての助成金で上記の資料が一律に必要になるわけではありません。制度ごとの提出資料を確認しつつ、規程と実態の関係を説明できる状態にしておきましょう。
キャリアアップ助成金で確認したい規程
正社員化コースでは、転換制度と、転換前後に適用される労働条件の確認が重要です。「正社員」という名称だけで判断せず、非正規雇用時の規程も含めて確認します。
正社員への転換制度が整備されているか
対象となる転換制度を就業規則等に定め、その制度に基づいて転換を行う必要があります。対象者の範囲、転換条件、選考・申出等の手続き、時期などが、実際の運用と合っているかを確認しましょう。
例えば、規程では面接や試験を行うことになっているのに、その手続きを行わず転換していた場合は、規程に基づく実施かどうかの確認が必要です。
転換前の雇用区分と待遇が明確か
転換前にどの雇用区分の規程が適用され、どのような賃金条件で働いていたかも重要です。正社員用の就業規則しかなく、非正規雇用労働者の扱いが不明確な場合は、適用範囲と関係する別規程を確認します。
実際の給与に違いがあるだけで、制度上の違いも確認できるとは限りません。適用される支給要領に沿って、規程と契約内容を照合してください。
昇給と賞与または退職金の制度が適用されているか
正社員化コースでは、正規雇用労働者の定義として、昇給と賞与または退職金に関する制度の整備・適用などを確認します。「賞与」という見出しがあるだけではなく、制度内容と支給・適用の実態も確認することが大切です。
昇給時期や賞与の対象期間、支給日在籍要件などが規定されている場合は、対象者にどう適用されるかを整理しましょう。
出典:厚生労働省キャリアアップ助成金、2026年度支給要領
育児介護休業規程は法改正と助成金要件の両方を確認する
両立支援等助成金を検討する場合、育児介護休業規程の内容と、休業・制度利用の実績を照合します。過去に作成した規程がある場合も、そのまま使えると判断しないことが重要です。
「法令による」と書くだけで足りるか確認する
法令に委ねる条項があっても、会社が選択・具体化すべき制度まで明確になっているとは限りません。従業員が何を利用でき、どこへ申し出るのかが分かる内容になっているかを確認しましょう。
例えば、2025年10月からの柔軟な働き方を実現するための措置では、3歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者について、会社が5つの措置から2つ以上を選択して講じる必要があります。
会社がどの措置を講じるのかを決め、必要な規程整備や周知等を行うため、単に「育児・介護休業法の定めによる」と記載しただけで対応が完了するとはいえません。
法定制度の整備だけで助成金の要件を満たすとは限らない
助成金のコースによっては、支援プラン、面談、業務代替に関する取組、制度の利用実績なども必要です。規程を改定しただけで申請準備が完了したと考えず、実施事項と記録を整理しましょう。
出典:厚生労働省柔軟な働き方を実現するための措置、両立支援等助成金
助成金申請に向けて規程を確認したい企業様へ
就業規則の内容だけでなく、適用時期、契約書、給与・勤怠の実績との整合性も一緒に確認します。
メールで相談する 電話で相談する受付:平日9:00〜18:00
規程はいつまでに整備する?施行日と届出日を分けて確認
助成金の確認では、規程に何が書いてあるかに加え、いつから対象者に適用されていたかが重要です。規程の施行日と行政への届出日は、同じ意味ではありません。
取組に必要な規程は所定の時点までに整える
正社員転換制度や休業制度などは、それぞれの助成金で必要とされる時点までに整備・適用する必要があります。「申請日までに規程を作ればよい」と一律に判断しないようにしましょう。
一方、どの規程も一律に「取組の6か月前までに改定する」というルールではありません。転換前の待遇を確認する期間、転換後の制度の適用時点など、要件ごとに確認します。
最新の規程だけでは説明できない場合がある
申請時に最新版だけを用意しても、取組前の制度や変更内容を確認できない場合があります。対象期間に適用していた規程と、その後の改定版を保存しましょう。
実務では「規程名・施行日・届出日・変更内容・周知方法」を一覧にしておくと、必要な版を特定しやすくなります。
規程の日付を遡らせて整えない
必要な時点で存在しなかった制度を、後から施行日だけ遡らせていたことにしてはいけません。不備が見つかった場合は、当時の規程と実際の運用を確認し、適用される要件に基づいて判断します。
今後の制度整備で対応できる事項と、過去の取組の要件不足は分けて検討しましょう。
労基署への届出と従業員への周知も必要
就業規則は、ファイルを作成して保管するだけでは十分ではありません。法令上必要な意見聴取・届出と、従業員への周知を確認し、助成金で求められる提出資料も整理します。
常時10人以上の事業場では作成・届出義務がある
常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則の作成・届出が必要です。人数は正社員だけで判断せず、パート等も含めた事業場の状況を確認します。
作成・変更に当たっては、過半数労働組合または適正に選出された過半数代表者の意見を聴き、意見書を添えて届け出ます。意見聴取と、労働条件変更に関する個別の同意等の問題は、区別して検討してください。
従業員がいつでも確認できる状態にする
周知方法には、従業員への配付、職場への備付け、電子媒体で常時確認できる方法などがあります。担当者だけが保管し、従業員が見られない状態になっていないか確認しましょう。
労基署の受付は助成金の支給承認ではない
届出が受け付けられたことと、助成金独自の要件を満たしていることは別です。届出済みの規程であっても、支給要領との照合や実際の適用状況の確認が必要です。
出典:厚生労働省就業規則の作成義務、作成・変更の手続きと周知
従業員10人未満でも規程の確認を省略しない
労働基準法上の作成・届出義務がないことと、助成金申請で制度の明文化が不要であることは同じではありません。小規模な事業場でも、申請する制度に応じた確認が必要です。
制度ごとの届出・申立書の扱いを確認する
キャリアアップ助成金では、常時10人未満の事業場について、届出済みの就業規則のほか、事業主と労働者代表者の氏名等を記載した制度実施に関する申立書を添付する取扱いがあります。
両立支援等助成金でも、一定の小規模事業場について、制度の明文化・周知を確認する申立書の例が案内されています。ただし、これをすべての助成金に共通する代替手続きとは考えず、制度ごとに確認してください。
出典:厚生労働省キャリアアップ助成金支給要領・就業規則の定義、宮崎労働局「両立支援助成金等のご案内」
不支給につながる不備を防ぐためのチェックリスト
申請直前に書類だけをそろえるのではなく、取組前から規程・契約・実績を照合することが大切です。次の項目を、対象者と取組日を基準に確認しましょう。
- 申請する助成金・コースと、適用される支給要領を特定したか
- 対象者に適用される就業規則・別規程が明確か
- 必要な制度が所定の時点までに規定・適用されているか
- 昇給・賞与・退職金・休業等の規定と実際の運用が合っているか
- 労働条件通知書、賃金台帳、出勤簿との不一致がないか
- 法改正への対応と会社が選択する制度が具体化されているか
- 必要な意見聴取・届出・周知を行い、その記録があるか
- 改定前後の規程と届出記録を保存しているか
例えば、賞与月を変更したのに賃金規程を見直していない場合は、対象者への適用と支給実績を確認する必要があります。内容によっては補正だけで解決できないため、変更を予定した時点で相談しましょう。
助成金と就業規則に関するよくある質問
規程の不備が申請にどう影響するかは、制度と事実関係によって異なります。ここでは、事前確認でよくある疑問を整理します。
Q1.就業規則があれば助成金は受給できますか?
就業規則があるだけでは受給できません。必要な制度の内容、適用時期、対象者、取組実績などの支給要件を満たす必要があります。
Q2.従業員が10人未満なら就業規則は不要ですか?
労働基準法上の作成・届出義務は原則としてありませんが、助成金の要件として制度の明文化等が必要な場合があります。申立書の扱いも含め、制度ごとに確認してください。
Q3.申請直前に規程を改定すれば間に合いますか?
必要な制度と時期によります。取組時点で適用されていることが要件なら、申請直前の改定だけでは不足を解消できません。規程の施行日と取組日を照合しましょう。
Q4.提出する就業規則は最新版だけでよいですか?
最新版だけでは足りない場合があります。転換前後や制度導入前後の確認に必要な版を、支給要領・チェックリストに沿って準備してください。
Q5.規程と実際の運用が違っていたら、必ず不支給ですか?
一律には判断できません。相違の内容、適用時期、支給要件への影響を確認する必要があります。記録を書き換えるのではなく、事実を整理して相談してください。
Q6.モデル就業規則を使えば、そのまま申請できますか?
そのまま使えるとは限りません。モデル規程を参考にしつつ、自社の雇用区分や制度選択、実際の運用、助成金独自の要件に合わせて確認・整備する必要があります。
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助成金の取組前に、規程と運用を確認しませんか
就業規則・賃金規程・育児介護休業規程と、契約・給与・勤怠の実態を合わせて確認します。
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