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【社労士監修】【2026年度版】中小企業が活用しやすい雇用関係助成金一覧
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この記事で分かること
2026年度に中小企業が検討したい雇用関係助成金を、正社員化、賃上げ、人材育成、育児・介護との両立、採用、高齢者雇用の目的別に紹介します。各制度で対象となる取組と、申請前に確認したい対象者・就業規則・計画届・申請期限を解説します。年度途中の改正や併給調整にも触れ、自社の人事計画に合う制度を探す手順を整理します。受給額だけで判断せず、取組を始める前に準備を進めるためのポイントが分かります。
「契約社員を正社員にしたい」「従業員の研修に取り組みたい」「育児休業を取得しやすい職場にしたい」。こうした人事施策を進める際、雇用関係助成金を活用できる場合があります。
ただし、対象者や事前手続きは制度によって異なります。支給額だけで選ぶのではなく、自社が予定する取組と実施時期を整理することが大切です。
この記事の結論
中小企業の助成金活用は、正社員化・賃上げ・研修・休業支援・採用・定年改定など、自社の人事計画から検討しましょう。取組前に、対象者、必要な規程、計画提出の期限、支給申請期間を確認することが重要です。「活用しやすい」とは、誰でも簡単に受給できるという意味ではありません。
本記事は2026年10月30日時点で確認した公的情報に基づく概要です。すべての助成金・コースや支給要件を網羅するものではありません。年度途中の改正や経過措置があるため、実際の取組日・計画提出日・申請日に適用される支給要領を確認してください。
2026年度に検討したい雇用関係助成金一覧
まずは、自社で予定している取組に近い制度を確認しましょう。以下では、中小企業の日常の人事施策と結び付けて検討しやすい代表的な制度・コースを整理しています。
| 予定する取組 | 助成金・コース | 最初に確認すること |
|---|---|---|
| 有期契約社員などの正社員化 | キャリアアップ助成金 正社員化コース |
転換前の雇用状況、転換制度、転換後の待遇・賃金 |
| 非正規雇用労働者の基本給引上げ | キャリアアップ助成金 賃金規定等改定コース |
賃金規定の内容、改定率、対象者への適用 |
| 業務に必要な研修・能力開発 | 人材開発支援助成金 | 訓練内容、受講者、時間数、計画届、経費 |
| 育児・介護と仕事の両立支援 | 両立支援等助成金 | コース、規程、支援プラン、休業・復帰等の実績 |
| 就職が困難な方の採用 | 特定求職者雇用開発助成金 特定就職困難者コース |
対象者の条件、紹介経路、継続雇用の見込み |
| 定年・継続雇用制度の見直し | 65歳超雇用推進助成金 | 従前の制度、改定内容、対象被保険者、受付期間 |
制度の全体像は、厚生労働省の雇用関係助成金パンフレットで確認できます。支給額は、企業規模、対象者、取組内容、加算の有無などによって変わります。
1.正社員化を進めるなら「キャリアアップ助成金」
契約社員やパート社員の正社員化を予定している場合は、キャリアアップ助成金の正社員化コースを確認しましょう。従業員の定着や長期的な人材育成と併せて検討できます。
名称の変更だけでは対象にならない
労働条件通知書の名称を「正社員」に変更するだけでは足りません。転換前の雇用期間や待遇、就業規則等に定める転換制度、転換後の昇給・賞与または退職金制度、賃金の増額などを確認します。
正社員化を決めてから転換日までに、対象者と規程の両方を確認することが大切です。
支給額は対象者区分によって変わる
中小企業で有期雇用労働者から正社員へ転換した場合、基本となる支給額は1人につき1期40万円です。2期の支給対象になるかどうかは対象者区分等によって異なるため、「正社員化すれば全員80万円」とは限りません。
無期雇用労働者から正社員への転換では支給額が異なります。加算についても別途要件があるため、転換前の契約内容と対象者区分を確認して受給見込額を整理しましょう。
転換前から準備したい事項
- 入社日、雇用形態、雇用保険加入状況の確認
- キャリアアップ計画と転換制度の整備状況の確認
- 転換前後の賃金と、適用する規程の照合
- 転換後の勤怠・賃金支払実績と申請期間の管理
出典:厚生労働省キャリアアップ助成金、支給要領・正社員化コース
2.非正規雇用労働者の賃上げなら「賃金規定等改定コース」
有期契約社員やパート社員などの基本給引上げを予定している場合は、キャリアアップ助成金の賃金規定等改定コースを確認しましょう。賃金規定の改定と実際の賃金への適用を合わせて管理することがポイントです。
基本給の賃金規定等を3%以上増額する取組を支援
このコースは、有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を改定し、3%以上増額する取組を支援する制度です。
正社員の給与だけを引き上げる場合や、一時的な手当を支払う場合に、そのまま利用できるわけではありません。対象となる規定、改定率、対象者、実施日を確認します。
最低賃金への対応と助成金の要件を分けて確認する
最低賃金に対応した賃上げを予定している場合も、助成金の要件を個別に確認する必要があります。最低賃金を守ることと、支給要件を満たすことは同じではありません。
また、正社員化コースの賃金増額要件とは別のコースです。増額率の数字だけで、同じ計算方法と判断しないようにしてください。
出典:厚生労働省キャリアアップ助成金・各コースの案内
3.従業員の研修には「人材開発支援助成金」
業務に必要な知識や技能を身に付ける研修を予定している場合は、人材開発支援助成金を検討できます。訓練の目的や実施方法に合わせて、適切なコースを選びましょう。
訓練経費や訓練期間中の賃金等を支援
職務に関連した訓練等を計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度です。
例えば、従業員の技能習得では「人材育成支援コース」、新たな事業展開等に必要な訓練では「事業展開等リスキリング支援コース」などを検討します。ただし、研修名に「DX」「リスキリング」と付いているだけで対象になるわけではありません。
研修を申し込む前に内容と手続きを確認する
- 誰に、どの業務に必要な能力を身に付けてもらうか
- 訓練内容・時間数・実施方法がコースに合っているか
- 計画届、契約・申込み、受講開始の時期が適切か
- 受講料の負担と支払記録、受講実績を説明できるか
会社が負担する費用と助成対象経費は、必ずしも一致しません。「助成金が出るので実質無料」という案内だけで判断せず、対象経費と自社負担を確認してください。
2026年度は年度途中の改正もあるため、最新の詳細版パンフレット・支給要領を確認しましょう。
出典:厚生労働省人材開発支援助成金
4.育児・介護との両立には「両立支援等助成金」
育児休業や介護休業の取得、職場復帰、業務代替などを支援する場合に検討する制度です。従業員が利用する制度と、会社が整備する体制に応じてコースを選びます。
| 代表的なコース | 検討する場面 |
|---|---|
| 出生時両立支援コース | 男性従業員の育児休業取得を支援する |
| 育児休業等支援コース | 育児休業の取得や職場復帰を支援する |
| 育休中等業務代替支援コース | 休業等に伴う業務代替の体制を整える |
| 介護離職防止支援コース | 介護休業や仕事と介護の両立を支援する |
休業の取得だけで受給が決まるわけではない
コースに応じて、規程整備、面談、支援プラン、社内周知、業務代替、復帰後の雇用継続などを確認します。「従業員が育児休業を取った」という事実だけでは、対象かどうか判断できません。
出産や介護に関する相談を受けたら、休業開始前に必要な対応を整理しましょう。法令に基づく会社の対応と、助成金独自の要件を分けて確認すると準備漏れを防ぎやすくなります。
出典:厚生労働省両立支援等助成金・2026年度の手引き等
5.対象となる方の採用には「特定求職者雇用開発助成金」
高年齢者や障害者、母子家庭の母等の採用を予定している場合は、特定就職困難者コースを確認しましょう。対象者の条件とハローワーク等の紹介経路が重要です。
対象者区分と勤務時間によって支給額が異なる
支給額の例として、中小企業で高年齢者や母子家庭の母等を短時間労働者以外として雇い入れる場合は、1人60万円を2期に分けて支給する形です。対象者区分や勤務時間等によって支給額は異なります。
求人・紹介の段階で確認する
2026年5月1日以降、高年齢者については、ハローワーク等で就労に向けた個別支援を受けていることなどの確認が必要です。「60歳以上の方を採用すれば対象」とは判断できません。
採用後に助成金のためだけに紹介手続きを整えるのではなく、求人・紹介の段階で対象となる可能性を確認しましょう。
出典:厚生労働省特定求職者雇用開発助成金・特定就職困難者コース
6.定年・継続雇用制度には「65歳超雇用推進助成金」
高齢者が働き続けられる環境を整える場合に検討する制度です。定年引上げ等のほか、雇用管理の改善や無期雇用への転換を支援するコースがあります。
制度改定の内容と対象者を確認する
「65歳超継続雇用促進コース」では、要件に合う65歳以上への定年引上げ、定年の廃止、66歳以上の継続雇用制度の導入等が対象となります。
支給額は、対象被保険者数や制度の改定内容等によって変わります。就業規則の年齢を書き換えるだけでなく、従前の制度、対象者、高年齢者の雇用管理に関する措置なども確認します。
受付期間と受付状況にも注意する
同コースの受付期間は、制度実施月の翌月から起算して4か月以内の各月月初から15日までです。予算等により受付が停止される場合もあるため、最新の受付案内を確認してください。
出典:高齢・障害・求職者雇用支援機構65歳超雇用推進助成金・65歳超継続雇用促進コース
助成金を申請する前に確認したいポイント
候補となる制度が見つかったら、会社と対象者の条件、事前手続き、必要資料を確認します。申請書の作成だけでなく、日常の労務管理と実施後の記録も重要です。
制度上の中小企業に該当するか
企業規模の判定は、業種、資本金・出資額、常時雇用する労働者数などによって行います。普段の認識だけで判断せず、利用する制度の定義で確認しましょう。
労務管理と保険加入が適切か
雇用保険の適用、労働保険料の納付、賃金・労働時間の管理などを確認します。事業主都合の離職や法令違反などが支給に影響する場合もあるため、制度ごとの対象期間と判定条件を確認してください。
事前手続きと申請期限を把握しているか
計画届や規程整備など、取組前に必要な準備がある制度もあります。すべての助成金が同じ手順ではないため、制度ごとに「何を・いつまでに行うか」を整理しましょう。
必要な記録を残せるか
就業規則、労働条件通知書、賃金台帳、出勤簿、支払記録などは、申請の確認資料になります。取組前後の変更履歴も含めて、実際の雇用条件や取組内容を説明できる状態にしておきます。
併給の可否と資金計画を確認したか
同じ従業員について複数の制度が候補になっても、併用できるとは限りません。同じ取組や経費への重複助成を調整する「併給調整」があるため、申請前に確認します。
また、賃上げ後の人件費や研修費用などは、助成金の入金前に会社が負担する場面があります。受給を前提にせず、取組を継続できる資金計画を立てましょう。
共通要件や改正内容は、厚生労働省の雇用関係助成金支給要領と各制度の案内で確認できます。
自社で使える助成金を探す4つの手順
制度名を一つずつ調べる前に、会社の予定を整理すると候補を絞りやすくなります。次の手順で、取組と制度の条件を照合しましょう。
- 人事計画を書き出す:採用、正社員化、賃上げ、研修、休業支援、定年改定などを整理します。
- 対象者と実施予定日を確認する:雇用形態、入社日、勤務時間などを整理します。
- 制度の要件と現状を照合する:計画提出や規程整備が間に合うか、労務管理に不足がないかを確認します。
- 社内の担当と期限を決める:資料収集、実績管理、申請準備の役割を分担します。
例えば、和歌山の企業で有期契約社員の正社員化と研修を予定している想定ケースでは、対象者の雇用状況に加えて、訓練と転換の順序、各制度の事前要件、併給調整を一緒に確認します。
なお、設備投資と賃上げを組み合わせる「業務改善助成金」や、労働時間短縮等に取り組む「働き方改革推進支援助成金」は、厚生労働省の分類では「労働条件等関係助成金」です。設備導入や労働時間の見直しも予定している場合は、労働条件等関係助成金の案内も確認しましょう。
雇用関係助成金に関するよくある質問
ここでは、初めて助成金の利用を検討する企業様からよくある疑問を整理します。個別の対象可否は、利用する制度と会社の状況に応じて確認してください。
Q1.従業員が少ない会社でも申請できますか?
少人数の会社でも対象になる制度はあります。ただし、雇用保険の適用や対象者の条件、制度ごとの要件を満たす必要があります。従業員数だけで対象かどうかは決まりません。
Q2.すでに正社員化や研修を実施した後でも申請できますか?
制度と事前準備の状況によります。取組前の計画提出等が必要な場合、実施後から準備しても対象にならないことがあります。実施日と、それまでに済ませた手続きを確認してください。
Q3.助成金は返済不要ですか?
適正に受給した助成金は、通常、融資のように返済するものではありません。ただし、不正受給や支給決定の取消し等により返還が必要になる場合があります。
Q4.2026年度中の申請には、すべて同じ要件が適用されますか?
一律ではありません。取組日や計画提出日等によって適用される要件が異なる場合があります。年度途中の改正や経過措置も確認が必要です。
Q5.助成金の相談には何を準備すればよいですか?
就業規則・賃金規程、対象者の雇用条件、予定している取組と実施時期を整理すると相談が進めやすくなります。個人情報は、相談先が指定する適切な方法で共有してください。
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