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【社労士監修】業務改善助成金とは?対象経費・賃上げ要件・申請の流れを解説
社会保険労務士法人ワンステップでは、和歌山・奈良・阪南を中心に労務相談、給与計算・社会保険手続き代行、就業規則作成、勤怠管理システム導入、助成金の提案など、人事労務分野の各テーマ別ノウハウに基づいてご支援をさせていただくことが可能です。上記テーマ等でお困りの会社様は、是非一度当法人にご相談ください。
この記事で分かること
業務改善助成金について、2026年度の制度を基に、対象となる事業者・設備投資・賃上げ要件と申請の流れを解説します。50円・70円・90円のコース、助成率と上限額の考え方、パソコンや自動車の扱い、交付決定前の設備導入に関する注意点も整理します。申請期限と賃上げ期限の違い、和歌山県の受付状況、準備したい資料も確認できます。設備購入だけで判断せず、自社の賃金と業務改善計画を合わせて検討するためのポイントが分かります。
「最低賃金の引上げに対応しながら、作業を効率化したい」「人手不足を補う設備を導入したい」。こうした課題への対応として、業務改善助成金を検討できる場合があります。
ただし、設備を購入すれば利用できる制度ではありません。賃金、対象労働者、設備の効果、申請・実施の時期を合わせて確認する必要があります。
この記事の結論
業務改善助成金は、事業場内最低賃金の引上げと、生産性向上につながる設備投資等を組み合わせて行う事業者への支援制度です。2026年度は50円以上の賃上げが基本となり、対象者や対象経費にも条件があります。設備投資は交付決定後、賃上げは交付申請後の指定期間内という実施時期の違いにも注意しましょう。
本記事は2026年10月30日時点の公的情報に基づいています。年度によって制度が変わるため、過年度の事例をそのまま当てはめず、申請年度の交付要綱・交付要領・Q&Aを確認してください。
【和歌山県の受付状況】2026年度の和歌山労働局における交付申請受付は、2026年10月2日で終了しています。今後の設備導入や賃上げを検討する場合、次年度の制度継続や要件は未確定であることを踏まえて準備しましょう。
業務改善助成金とは?賃上げと生産性向上を支援する制度
業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者が、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げ、生産性向上に役立つ設備投資等を行った場合に、その費用の一部を助成する制度です。
助成されるのは設備投資等の費用
賃上げは支給要件ですが、賃上げした給与そのものを補填する制度ではありません。助成の対象となるのは、要件に合う機械設備の導入やシステム化などの費用です。
「どの設備を買うか」だけでなく、「どの作業がどのように改善するか」を説明できる計画が必要です。
申請は工場・店舗・事務所などの事業場単位
複数店舗がある場合も、会社全体を一括して判断するのではなく、申請する事業場ごとの賃金や取組を確認します。2026年度は、同一事業場の申請は年度内1回までで、同一事業主が複数事業場で申請する場合の申請額は年間600万円が上限です。
出典:厚生労働省業務改善助成金、2026年度交付要領
2026年度の対象事業者・賃上げ要件
制度の利用を検討するときは、企業規模、申請事業場の賃金、対象労働者の条件を順に確認します。特に2026年度は、前年度から変更された要件に注意が必要です。
対象事業者の主な条件
- 中小企業・小規模事業者であり、みなし大企業に該当しないこと
- 事業場内最低賃金が、2026年度の地域別最低賃金未満であること
- 解雇、賃金引下げなどの不交付事由に該当しないこと
「新しい地域別最低賃金未満」という条件は、最低賃金違反を認めるものではありません。申請時点で適用されている最低賃金を守ったうえで、改定後の最低賃金発効前に取り組む制度です。
事業場内最低賃金は時間額で確認する
事業場内最低賃金とは、事業場で最も低い時間当たりの賃金です。月給者も時間額に換算して確認します。給与総額をそのまま割るのではなく、最低賃金の算定に含める賃金と除外する賃金を区別してください。
2026年度は、雇入れ後6か月を経過した雇用保険被保険者の事業場内最低賃金を引き上げる必要があります。対象労働者の雇用保険加入状況も確認しましょう。
賃上げコースは50円・70円・90円
2026年度は、事業場内最低賃金を50円以上、70円以上、90円以上引き上げるコースがあります。引上げ後の最低賃金額を就業規則等に定め、実際の賃金にも反映する必要があります。
複数回に分けた事業場内最低賃金の引上げは認められません。また、所定労働時間の短縮や所定労働日の減少を伴う賃金引上げでは要件を満たさないため、時間単価だけで判断しないようにしましょう。
出典:厚生労働省2026年度業務改善助成金のご案内、交付要領・対象労働者と賃上げの取扱い
対象経費は?設備の名称よりも業務改善の効果が重要
対象となるのは、生産性向上や労働能率の増進につながる設備投資等です。同じ機器でも、導入目的や使用方法によって判断が変わるため、商品名だけで対象と決めないことが大切です。
| 区分 | 公的資料で示される例 | 計画で整理すること |
|---|---|---|
| 機器・設備の導入 | POSレジシステムによる在庫管理時間の短縮 | 従来の集計方法、作業時間、導入後の改善内容 |
| 特殊車両の導入 | リフト付き特殊車両による送迎時間の短縮 | 車両の仕様、対象となる作業、時間短縮の根拠 |
| 経営コンサルティング | 国家資格者による業務フローの見直し | 現状の課題、支援内容、改善につながる具体策 |
| システム化 | 顧客管理情報のシステム化 | 手作業の内容、重複入力や検索時間の削減 |
単なる経費削減や快適化は対象とならない
例えば、通常の光熱費・消耗品費、広告宣伝費、単なる快適化を目的とするエアコン設置などは、対象経費として認められないものがあります。設備更新であっても、単なる買替えという説明だけでは不十分です。
申請前に「現在の作業」「困っている点」「導入後の変化」を整理し、対象経費の範囲と照合しましょう。
パソコン等は特例の条件を確認する
パソコン、スマートフォン、タブレット等は通常の対象経費ではありません。ただし、物価高騰等要件を満たす特例事業者では、新規導入が対象となる場合があります。特例事業者であればすべて対象になるわけではなく、どの特例要件に該当するかの確認が必要です。
自動車は前年度の事例をそのまま使わない
2026年度は、特例で対象となっていた自動車のうち、特殊用途自動車を除くものが助成対象外となりました。「以前、軽自動車で申請できた」という情報だけで導入を進めないようにしてください。
出典:厚生労働省2026年度の対象経費・主な変更点、鹿児島労働局「対象経費とならないもの」
助成率・上限額と受給見込額の考え方
助成額は設備価格だけで決まりません。対象経費に助成率を掛けた額と、コース・引上げ人数等による上限額を比較し、低い方の額が基本となります。
助成率は引上げ前の事業場内最低賃金で確認
| 引上げ前の事業場内最低賃金 | 2026年度の助成率 |
|---|---|
| 1,050円未満 | 4/5 |
| 1,050円以上 | 3/4 |
最大600万円が全事業場の上限ではない
上限額は、50円・70円・90円のコース、引き上げる労働者数、事業場規模等によって異なります。最大600万円は、90円コースで特例事業者が10人以上の労働者を引き上げる区分の上限です。
引上げ人数も、単に給与を増やした全員を数えるわけではありません。事業場内最低賃金の引上げによって賃金額が追い抜かれる労働者など、算入条件に合うかを確認します。
計算のイメージ
仮に、対象経費100万円、助成率3/4、適用される上限額70万円とすると、「100万円×3/4=75万円」と「上限70万円」を比較し、助成額の見込みは70万円となります。実際には、対象経費の認定や端数処理等も確認が必要です。
出典:厚生労働省助成上限額・助成率・引上げ人数の数え方
申請から受給までの流れ
交付申請をしただけでは助成金は振り込まれません。計画の審査、事業の実施、実績報告、交付額の確定という段階を踏みます。特に、賃上げと設備投資の実施可能時期を分けて管理しましょう。
1.対象者・設備・実施時期を整理する
従業員の賃金と雇用保険加入状況、設備の改善効果、見積額、納期、支払予定を確認します。相見積もりの要否も確認し、必要資料をそろえます。
2.事業場を管轄する労働局へ交付申請する
賃金引上げ計画と設備投資等の計画を作成して申請します。提出先は、申請事業場の所在地を管轄する都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)です。
3.指定期間内に賃上げを実施する
2026年度の賃上げは、交付申請後から地域別最低賃金の発効日の前日までに実施する必要があります。交付決定後でなければ賃上げできない、という整理ではありません。就業規則等の改正・適用日と給与への反映を確認してください。
4.交付決定後に設備投資等を実施する
設備投資等は、交付決定後に実施します。交付申請を済ませただけで購入・導入を進めず、発注・契約の時点も含めて事前に確認しましょう。交付決定前に導入した設備は助成対象になりません。
5.実績報告・支給申請を行う
計画に沿った事業の完了後、賃上げ実績、設備導入、代金支払などを証明する資料を添えて報告します。報告内容の審査を経て交付額が確定し、助成金が支払われます。
設備や対象人数、納期などが変わる場合は、自己判断で進めず、計画変更の承認等が必要か労働局へ確認してください。
申請期限・賃上げ期限・事業完了期限は別々に管理する
業務改善助成金では、書類を提出する期限だけでなく、賃上げと設備投資を完了する期限もあります。「年度末までに終わればよい」と一括して考えないことが重要です。
| 区分 | 2026年度の取扱い |
|---|---|
| 交付申請期間 | 2026年9月1日から、地域別最低賃金発効日の前日または2026年11月30日のいずれか早い日まで |
| 賃上げの実施時期 | 交付申請後から、地域別最低賃金発効日の前日まで |
| 事業完了期限 | 原則、交付決定の属する年度の1月31日。2026年度交付決定分は2027年1月31日 |
事業完了には、設備の納品だけでなく、支払完了なども必要です。カード払い等では口座引落日にも注意してください。やむを得ない理由がある場合は期限延長が認められることがありますが、自動延長ではなく事前の手続きが必要です。
和歌山県では2026年10月2日で交付申請受付が終了しています。他地域も、全国一律に11月30日まで申請できるわけではありません。申請事業場の所在地を基準に確認しましょう。
出典:厚生労働省申請期間・事業完了期限の案内、和歌山労働局の受付終了案内
相談前に準備したい資料
対象となる可能性を判断するには、設備の見積書だけでは足りません。賃金と雇用状況、現在の作業内容が分かる資料を合わせて準備すると、検討が進めやすくなります。
- 従業員の入社日・雇用形態・雇用保険加入状況が分かる資料
- 賃金台帳、出勤簿、労働条件通知書
- 就業規則・賃金規程
- 導入設備の見積書・仕様書・カタログ
- 導入前後の作業方法と、時間短縮等の根拠
- 賃上げ日、納品日、支払日の予定
これは相談準備の目安です。実際の提出書類は申請内容や特例の有無によって異なるため、最新の様式・マニュアルで確認してください。
業務改善助成金に関するよくある質問
設備の対象可否や実施時期は、申請前に確認しておきたい事項です。ここでは、利用を検討する際の主な疑問を整理します。
Q1.賃上げだけでも申請できますか?
賃上げだけでは足りません。要件に合う生産性向上のための設備投資等も必要です。助成されるのは、その設備投資等にかかる費用の一部です。
Q2.すでに購入した設備も対象になりますか?
交付決定前に導入した設備は対象になりません。発注・契約を含む実施時期を確認し、購入前に相談してください。
Q3.パソコンや軽自動車は対象ですか?
一律には対象になりません。2026年度のパソコン等は物価高騰等要件を満たす場合の新規導入に特例があります。一方、特殊用途自動車を除く自動車は対象外となっており、過年度の取扱いとの混同に注意が必要です。
Q4.パート社員も賃上げ対象になりますか?
パートという名称だけでは判断できません。2026年度は雇用保険被保険者であることなどの条件があり、入社時期、賃金、勤務条件等を確認します。
Q5.交付決定が出れば、必ず申請額どおりに受給できますか?
必ず申請額どおりになるとは限りません。実施内容や支払額、対象人数等を実績報告で確認したうえで交付額が確定します。計画変更が生じた場合の手続きも必要です。
Q6.和歌山県で今から2026年度分を申請できますか?
2026年10月30日時点では、和歌山労働局の2026年度交付申請受付は終了しています。次年度の条件を現行制度と同じと見込まず、今後の公式発表を確認しながら準備してください。
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