従業員の成長を実感させる「目標設定(MBO)」の運用方法 -

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従業員の成長を実感させる「目標設定(MBO)」の運用方法

2026.09.28 コラム
目標設定(MBO)と社員の成長の関係性

目標設定(MBO)と社員の成長の関係性

 

社会保険労務士法人ワンステップでは、和歌山・奈良・阪南を中心に労務相談、給与計算・社会保険手続き代行、就業規則作成、勤怠管理システム導入、助成金の提案など、人事労務分野の各テーマ別ノウハウに基づいてご支援をさせていただくことが可能です。上記テーマ等でお困りの会社様は、是非一度当法人にご相談ください。

 

「目標を書いて、半年後に振り返るだけ」になっていませんか?

いつもご覧いただきありがとうございます。
社会保険労務士法人ワンステップです。

「目標管理制度を導入したけれど、毎回似たような目標になっている」

「社員が何を書けばいいか分からず、上司がほとんど考えている」

「半年後に振り返るまで、目標を一度も見ていない」

「目標達成率だけで評価してよいのか迷う」

このようなお悩みを持つ会社は少なくありません。

そこで活用されるのが、

MBO(目標管理制度)

です。

中小企業がMBOを形骸化させず、人材育成と評価につなげるポイント

MBOとは、社員一人ひとりが一定期間の目標を設定し、その達成に向けて取り組み、上司との面談などを通じて進捗を確認する仕組みです。

しかし、運用を間違えると、

「目標シートを書くこと自体が仕事」

になってしまいます。

📌 MBOの本来の目的は、点数をつけることではなく、社員が「何をできるようになったか」を確認しながら成長することです。

今回は、中小企業でMBOを運用するときのポイントについて解説します。


1.MBOとは?

MBOは、

Management by Objectives

の略で、日本では一般的に、

目標管理

と呼ばれています。

例えば営業社員であれば、

「新規顧客を年間20社獲得する」

という目標。

事務社員であれば、

「請求書作成業務のミスを減らし、月次締めを1日早くする」

という目標。

管理職であれば、

「部下との1on1を毎月実施し、後継者候補を1名育成する」

という目標を設定します。

一定期間後に、

「どこまでできたか」

「何ができるようになったか」

を振り返ります。

👉 会社の目標と、社員個人の成長をつなぐ仕組みと考えると分かりやすいでしょう。


2.MBOは「ノルマ管理」ではない

MBOというと、

売上○万円

契約○件

生産数○個

といった数字だけを設定する会社があります。

もちろん成果目標も重要です。

しかし、

数字だけを追う制度

にすると、単なるノルマ管理になってしまいます。

例えば営業社員なら、

売上目標に加えて、

・提案書を一人で作成できるようになる
・重要顧客への商談を担当する
・後輩へ営業同行できるようになる

という成長目標も設定できます。

📌 成果だけでなく、「できる仕事を増やす」という視点を入れることが重要です。


3.なぜ「成長実感」が大切なのか?

社員が仕事を続けるうえで、

「給料が上がった」

だけでなく、

「以前よりできることが増えた」

と感じられることも大切です。

例えば入社時には、

電話対応が苦手だった社員が、

半年後には、

一人で顧客対応できるようになった。

さらに1年後には、

後輩へ教えられるようになった。

この変化を本人と会社が確認できれば、

「成長した」

と実感できます。

👉 MBOは、この成長を意識的に作るための仕組みとして活用できます。


4.会社の目標から個人目標へ落とし込む

MBOでよくある問題が、

社員がそれぞれ好きな目標を書いていることです。

例えば会社が、

「今年は顧客満足度を高める」

と決めているのに、

社員の目標が会社方針とまったく関係なければ、組織としてまとまりません。

そこで、

会社目標

↓

部署目標

↓

個人目標

という順番で考えます。

例えば、

会社目標

顧客満足度向上

↓

営業部目標

問い合わせへの初回対応を早くする

↓

個人目標

問い合わせ受領後、原則当日中に一次回答する

という形です。

📌 「なぜこの目標なのか」が会社の方向性とつながっていることが重要です。


5.目標は本人だけに考えさせない

MBOを導入すると、

「自分の目標を書いて提出してください」

と社員へ任せてしまうことがあります。

しかし、社員によっては、

「何を書けばいいのか分からない」

となります。

その結果、

「仕事を頑張る」

「ミスを減らす」

「コミュニケーションを取る」

という抽象的な目標になりがちです。

👉 目標は、本人と上司が話し合って決めることが基本です。

本人の希望と、会社が期待する役割の両方を確認しましょう。


6.「頑張る」を目標にしない

例えば、

「営業を頑張る」

では、半年後に評価できません。

そこで、

「既存顧客への提案回数を月5件以上実施する」

とします。

また、

「ミスを減らす」

なら、

「請求書発行前にチェックリストを使用し、入力ミスを前年より半減させる」

というようにします。

📌 後から「できた・できなかった」が確認できる言葉にすることがポイントです。


7.数字にできない目標もある

すべてを数値化する必要はありません。

例えば、

「新人教育を担当できるようになる」

という目標があります。

これを、

達成基準

・業務手順を説明できる
・新人の質問に回答できる
・1か月のOJT計画を作れる

と具体化すれば評価できます。

👉 数値化できなくても、「どの状態になれば達成か」が分かれば十分です。


8.目標は高ければ高いほどよい?

目標が低すぎると成長につながりません。

一方で、

到底達成できない目標を設定すると、

社員が最初から諦めてしまいます。

例えば、前年売上500万円の社員へ、

「今年は2,000万円」

と設定しても、現実的ではない場合があります。

📌 「少し努力すれば届く」目標と、「挑戦する目標」をバランスよく設定することが大切です。


9.目標の難易度をそろえる

MBOを人事評価へ使う場合、特に注意したいのが、

目標の難易度差

です。

例えばAさんは、

「資料を月1回整理する」

という簡単な目標。

Bさんは、

「新規事業を立ち上げる」

という難しい目標。

達成率だけを見ると、

Aさん100%

Bさん80%

となり、Aさんの方が高評価になるかもしれません。

しかし、単純比較は適切ではありません。

👉 目標設定時に、難易度や期待役割を上司同士ですり合わせることが重要です。


10.目標は3つ程度に絞る

社員へ、

「目標を10個書いてください」

とすると、管理するだけで大変です。

また、優先順位も分からなくなります。

例えば、

① 業績目標

売上・生産性など

② 業務改善目標

ミス削減・効率化など

③ 成長目標

スキル・資格・後輩育成など

という3つ程度に絞る方法があります。

📌 重要な目標を少数に絞った方が、日常業務で意識しやすくなります。


11.「成果目標」と「成長目標」を分ける

例えば営業社員の場合、

成果目標

新規契約15件

成長目標

一人で提案からクロージングまでできるようになる

と分けます。

事務社員なら、

成果目標

月次処理を締切までに100%完了する

成長目標

給与計算業務を一人で完結できるようになる

という形です。

👉 数字の達成と、本人の能力向上を両方見ることができます。


12.目標設定時に「なぜ?」を確認する

上司が、

「この目標でいいですね」

と承認するだけでは不十分です。

例えば、

「なぜこの目標にしたの?」

「達成すると何ができるようになる?」

「会社にどんなメリットがある?」

と聞きます。

本人が、

「何のためにやるのか」

を理解していると、日常業務でも意識しやすくなります。

📌 目標の背景を共有することが、納得感につながります。


13.半年後まで放置しない

MBOが失敗する最大の原因の一つです。

4月に目標設定

↓

半年間何もしない

↓

10月に評価面談

となると、

社員も目標を忘れてしまいます。

👉 月1回、少なくとも2~3か月に1回は進捗確認をしましょう。

面談時間は10~15分でも構いません。


14.途中面談では「達成率」だけ聞かない

例えば上司が、

「今何%できていますか?」

だけ聞いて終わると、進捗管理になってしまいます。

そこで、

「何がうまくいっている?」

「どこで困っている?」

「何か会社に支援してほしいことはある?」

「目標を達成するために次に何をする?」

と聞きます。

📌 MBO面談は、社員を問い詰める場ではなく、目標達成を支援する場です。


15.上司の役割は「支援」

目標を決めた後、

「自分で決めたんだから頑張って」

では、成長支援になりません。

例えば社員が、

「営業提案力を高めたい」

という目標を持っているなら、

上司が、

・商談へ同行する
・提案書を添削する
・成功事例を共有する
・研修を受けさせる

といった支援をします。

👉 目標達成は本人だけの責任ではなく、上司にも育成責任があります。


16.途中で目標を変更してもよい

半年や1年の間には、

会社の状況も変わります。

例えば、

新規事業が中止になった

担当顧客が変わった

部署異動になった

という場合です。

それでも、

「年初に決めたから変更禁止」

とすると、意味のない目標になります。

📌 状況が大きく変わった場合は、上司と本人で話し合って目標を修正しましょう。


17.達成できなかった理由を見る

例えば目標達成率が70%だった社員がいます。

このとき、

「未達だから評価C」

だけでは不十分です。

理由を確認します。

例えば、

本人の努力不足

なのか、

会社側の人員不足

なのか、

途中で担当業務が増えた

のか、

目標設定自体が高すぎた

のか。

👉 未達の原因を分析することが、次回の目標設定につながります。


18.達成率100%なら必ず高評価?

これも単純ではありません。

例えば、

非常に簡単な目標を設定して100%達成

した人と、

難しい目標へ挑戦して90%達成

した人がいた場合です。

数字だけでは判断できません。

📌 達成率だけでなく、目標の難易度、取り組み方、成果への影響も確認しましょう。


19.結果だけでなく「プロセス」も見る

例えば、

売上目標100%達成

でも、

周囲へ仕事を押しつけた

顧客対応で問題が多かった

という場合があります。

逆に売上目標90%でも、

後輩を育成しながらチーム全体の成果を上げた

という人もいます。

👉 MBOは成果だけでなく、会社が大切にする行動と組み合わせて評価することが重要です。

ビジョン・ミッション・バリューや行動評価と連動させる方法もあります。


20.上司ごとの評価ブレを減らす

A課長は厳しい。

B課長は甘い。

という状態では、社員が評価へ不満を持ちます。

そこで評価前に、

管理職同士で、

「この目標の難易度はどの程度だったか」

「この成果ならどの評価になるか」

を確認します。

📌 評価者会議やすり合わせを行うことで、部署間の評価差を減らせます。


21.自己評価をさせる

評価面談の前に、

本人にも自己評価をしてもらいます。

例えば、

目標達成度

70%

理由

「新規顧客への訪問は増やせたが、契約までつなげられなかった」

改善点

「提案後のフォロー方法を見直したい」

という形です。

👉 自分で振り返ることで、単に上司から点数をもらう制度ではなくなります。


22.評価面談では「次に何を伸ばすか」を話す

MBOの評価面談が、

「あなたはB評価です」

で終わってしまうと、社員は成長を実感しにくくなります。

例えば、

「半年前は一人でできなかった顧客対応が、今はできるようになりましたね」

「次は後輩へ教えられるところまで目指しましょう」

と伝えます。

📌 過去の評価ではなく、次の成長につなげることが重要です。


23.前年の自分と比較する

社員の成長を実感させるなら、

他人との比較だけではなく、

過去の本人との比較

を行います。

例えば、

去年

電話対応 △
資料作成 △
顧客説明 ×

今年

電話対応 ◎
資料作成 ○
顧客説明 ○

となれば、成長が分かります。

👉 「Aさんよりできている」ではなく、「去年よりできることが増えた」を確認することが大切です。


24.スキルマップと組み合わせる

MBOとスキルマップは相性が良い仕組みです。

例えば現在、

給与計算

△:補助があればできる

という社員がいるとします。

半年後の目標を、

○:一人で完結できる

にします。

さらに次年度は、

◎:他の社員へ指導できる

を目指します。

📌 目標達成とスキルアップが目に見えるため、本人も成長を実感しやすくなります。


25.昇給・賞与とどう連動させる?

MBOを給与へ反映する会社もあります。

ただし、

目標達成率=そのまま昇給率

と単純に結びつけるのは慎重に考えましょう。

目標の難易度や担当業務によって達成しやすさが違うためです。

例えば評価を、

・成果
・能力
・行動
・役割

など複数の項目で構成し、その一部としてMBOを利用する方法があります。

👉 「目標を達成できなかったから給与を下げる」という単純な制度にしないことが重要です。

賃金制度へ反映する場合は、評価基準や賃金規程との整合性も確認しましょう。


26.目標の数値だけを追いすぎない

例えば営業社員が、

「新規契約20件」

という目標だけを追うと、

利益の少ない契約

無理な値引き

必要のないサービスの提案

などにつながる可能性があります。

📌 数字だけでなく、顧客満足・利益・会社の価値観も考慮することが重要です。

「何を達成するか」と「どう達成するか」の両方を見ましょう。


27.「全員同じ目標」にしない

例えば全社員へ、

「売上10%アップ」

という同じ目標を設定しても、職種によっては意味がありません。

事務

製造

営業

管理職

では役割が違います。

👉 職種・役職・経験年数に応じて、期待する目標を変える必要があります。


28.新人には「習得目標」が使いやすい

新人へいきなり、

「売上○万円」

と求めるより、

まず、

・基本業務を一人でできる
・社内ルールを理解する
・顧客対応を一人でできる
・ミスなく入力できる

という習得目標を設定します。

📌 新人の時期は「成果」よりも「何ができるようになったか」を重視すると成長が見えやすくなります。


29.管理職には「部下育成」の目標も入れる

管理職自身の売上だけ評価していると、

部下を育てる時間を取らなくなることがあります。

そこで、

・毎月1on1を実施する
・後継者候補を1名育てる
・チーム内で業務を複数人化する
・新人の6か月定着率を改善する

などを目標にします。

👉 管理職は「自分が成果を出す人」から「チームで成果を出す人」へ役割を変える必要があります。


30.目標管理シートはシンプルでよい

立派なシステムを導入しなくても始められます。

例えば、

① 目標

何を達成するか

② 達成基準

どの状態になれば達成か

③ 期限

いつまでに

④ 取り組み

何をするか

⑤ 会社・上司の支援

何をサポートするか

⑥ 中間確認

進捗・課題

⑦ 最終振り返り

結果・学び・次の課題

というA4一枚でも十分です。

📌 書類を複雑にするより、面談の質を高めることの方が重要です。


31.中小企業なら半年サイクルから始める

初めてMBOを導入する会社で、

1年間の目標

にすると、途中で忘れやすくなります。

例えば、

4月

目標設定

↓

6月

進捗面談

↓

8月

進捗面談

↓

9月

評価・振り返り

↓

10月

次の半年の目標設定

という半年サイクルから始める方法があります。

👉 短いサイクルで「目標→行動→振り返り」を回す方が運用を改善しやすくなります。


32.MBOを成功させる5つのポイント

中小企業で目標管理制度を始めるなら、まず次の5つを意識してみましょう。

① 会社の目標とつなげる

なぜその目標なのかを明確にする。

② 成果と成長を両方見る

数字だけにしない。

③ 達成基準を具体的にする

「頑張る」「意識する」で終わらせない。

④ 定期的に面談する

半年後まで放置しない。

⑤ 最後に次の成長目標を決める

評価して終わらない。

📌 この5つを押さえるだけでも、MBOは「評価シート」から「育成ツール」へ変わります。


33.社会保険労務士法人ワンステップに相談するメリット

社会保険労務士法人ワンステップでは、和歌山・奈良・大阪を中心に、

・目標管理制度(MBO)の設計
・人事評価制度の構築
・評価シートの作成
・職種、役職別の評価基準作成
・スキルマップの作成
・評価者研修
・1on1、評価面談の仕組みづくり
・昇給、賞与制度との連動
・就業規則、賃金規程の整備

などをサポートしています。

「目標管理制度が形だけになっている」

「社員によって目標の難易度が違う」

「上司によって評価がバラバラ」

「評価制度を社員の成長につなげたい」

という企業様もお気軽にご相談ください。

👉 社会保険労務士法人ワンステップ
https://www.onestep-sr.jp/


34.まとめ

MBOは、

社員へ目標を書かせて、半年後に点数をつける制度

ではありません。

本来は、

社員が自分の役割を理解し、できる仕事を増やし、その成長を上司と一緒に確認する仕組み

です。

運用するときは、

① 会社目標から個人目標へ落とし込む

② 本人と上司で目標を決める

③ 成果目標と成長目標を設定する

④ 達成基準を具体的にする

⑤ 途中面談を行う

⑥ 上司が必要な支援をする

⑦ 結果だけでなくプロセスも確認する

⑧ 最後に「何ができるようになったか」を振り返る

ことが重要です。

📌 社員が成長を実感できるMBOでは、「達成したか?」だけでなく、「半年前と比べて何ができるようになったか?」を確認します。

目標管理制度がうまくいかない場合は、社員の意欲ではなく、

目標の作り方

面談の頻度

上司の関わり方

に問題がないかを見直してみましょう。

👉 まずは次回の目標設定面談で、「半年後、今より何ができるようになっていたいですか?」と社員へ聞くところから始めてみてはいかがでしょうか。

 

労務問題対策には専門家の支援を

当法人では、企業様に顧問社労士契約を推奨しております。労務・手続き・助成金に強い顧問社労士をつけることで、労務問題を迅速に解決するだけでなく、給与計算や諸手続きにかかる総務部門の間接コストを削減することができ、経営に専念できる環境を整備出来ます。その他にも受給できる助成金の提案・申請代行や各種研修の実施・最新情報提供など、様々なメリットがあります。 詳しくは、【サービス紹介】をご覧ください。

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執筆者情報
社会保険労務士法人ワンステップ 代表社員 社会保険労務士 千田佳昭
保有資格社会保険労務士 行政書士
専門分野助成金申請サポート 人事労務サポート
一言当法人は2005年に創業し、その後2019年に社会保険労務士法人ワンステップへと法人化しました。創業から20年を超えても一貫して「人事労務の手続きサポート・助成金の積極提案」を主軸に取り組んできました。 人事労務のサポートを通じてより良い企業づくりと、それを通じた地域の発展を支援することが当法人の役割です。お客様のため、地域のために何ができるか日々研究し、実践しています。 お困り事があれば、まずはお電話やメール等でお気軽にお問い合わせください。
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